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船底塗料用長期船底保護添加剤                                  English  

フジツボガードについて




【フジツボ付着による船舶の影響】


フジツボが船の船底に取り付くと、フジツボが船底の水流抵抗を増やしてしまうので速度で10%以上、燃費でも最大40%も悪影響を与えてしまいます。機動性が求められる米海軍の船舶(潜水艦を含む)では、定期的にフジツボ除去を行わねばならず、そのフジツボ除去費用と燃料消費量の増加で、年間10億ドル(約 1150億円)もの負担となっています。

       



フジツボガード

1) 特長

・フジツボガードは、船底塗料用添加剤です。

・本製品を船底塗料に混ぜ、それを船底へ塗布することによって、フジツボやイガイ類の船底への付着を防止します。

・船底塗料に混ぜれば、船底だけではなく、浮標灯や桟橋、海洋構造物等のフジツボ付着対策にも利用可能です。

・フジツボガードは、科学化合物を一切含んでおらず、自然由来物から製造しているので、自然環境に全く負荷を与えません。


2) 船底塗料の防汚機能との違い

A  有機スズ化合物を含有した過去の船底塗料は、「毒でフジツボ等の付着生物を殺す」という防汚機能を基にしていました。したがって、現在の船底塗料も「毒で付着生物を殺す」という考えから開発されており、有機スズ化合物に代わって環境に与える負荷を抑えた「毒」を見つけるために、場当たり的に様々な「毒」を試験し、その結果が比較的良好だった「亜酸化銅」と「酸化亜鉛」が主に採用されています。しかしながら、これらの物質も長期的に見れば環境に負荷を与える恐れがあり、また、その防汚効果も有機スズ化合物より大きく劣っています。
フジツボガードの防汚機能は、「毒を以て制する」という従来の発想で開発したのではなく、フジツボやイガイ類の「付着機能を根本から無効化させる」という発想から開発しました。そうすることによって、製品に「毒」を含ませることなく、フジツボやイガイ類の付着を防止することが可能となりました。その結果、環境に全く負荷を与えない製品となっています。

B  フジツボやイガイ類は、その幼生時に船底に付着しますが、海域によって幼生の活性に差があり、船底塗料の「毒」を基にした防汚機能は、フジツボ等幼生の活性によって効果に差が出ます。
これらの幼生は河川等の淡水域では発生せず、海水域で発生し、特に汽水域ではその活性が高くなります。したがって、外海に面し、河川合流のない海水域では、海水中の塩分濃度が濃く幼生の活性が抑えられるので「毒」の効果が出やすく、内湾で河川合流のある海水域では、幼生の活性が盛んで「毒」の効果が及ばず、付着率が高まります。したがって、その効果は幼生の活性力に左右されるので、海域によって効果に差が出る結果となっています。
フジツボガードは、幼生の活力を奪う(弱らせる)機能ではなく、前項で記述したとおり、幼生の付着機能を無効化させます。したがって、その効果は幼生の活性力に影響されずに発揮されるので、海域によって付着防止効果に差が出ることはありません。


3) 類似商品との違い

効果の程は知り得ませんが、「マリンバリア」という類似商品があります。その成分は「火山性鉱物抽出物」や「可視光紫外線両反応型酸化チタン+特殊コーティング微粒子」と記載されていますが、これらは、水に溶解しません。したがって、「マリンバリア」を添加した船底塗料の塗膜が溶解すると、「マリンバリア」の主成分が塗料の溶解と共に塗膜表面に露出し、その後、剥離して海底など海に蓄積されてしまうので、環境を汚染する恐れがあります。
フジツボガードの成分は、海のミネラル成分等を凝縮しセラミック化した水溶性パウダーなので、海環境には全く無害で、塗料の溶解と共に特殊表面処理を施した成分が塗膜表面に露出し、フジツボ付着防止効果を発揮した後、海水中に溶けてしまうので、環境に全く負荷を与えません。
したがって、フジツボガードは他の類似商品と違い、とてもエコフレンドリーな船底塗料用添加剤です。


4) 効果の持続性

フジツボガードの効果の持続性は、混ぜて塗布した塗膜の厚みに比例します。
船底塗料にフジツボガードを混ぜることによって、特殊表面処理によってタイムカプセル化されたフジツボガードが海中での塗料の分解と共に塗装表面に現れ続けることでフジツボやイガイ類の付着を防止しています。したがって、塗膜が残り、塗料の分解が継続している間は効果を発揮し続けます。


5) 使用期限

未開封で密閉された状態ならば使用期限はありません。使用後の残りはパッケージ内の空気を抜き、上部のチャックをしっかりと閉め、密閉した状態で直射日光が当たらない場所に保管すれば、開封後約2年間は効果を損なうことなく使用できます。また、フジツボガードを混ぜた船底塗料が残った場合、塗料缶のフタをしっかりと閉めて密閉した状態で保管すれば翌年も効果を損なうことなく再使用できます。


6) 製品の性質

フジツボガードは、製品の性質上、アルミニウム、亜鉛、真ちゅう、黄銅及びステンレスに、フジツボガードを混ぜた船底塗料を直接塗布すると腐食を引き起こします。下地にプライマーもしくはこれらの金属に対応する、フジツボガードを加える前の亜鉛アクリルタイプ船底塗料を塗布後ならば、その上からフジツボガードを混ぜた船底塗料を塗布することは可能です。(直接これらの金属にフジツボガードを混ぜた船底塗料が触れなければ問題ありません。)
鉄(鋼)部分へのフジツボガードを添加した亜鉛アクリルタイプ船底塗料の直接塗布は、まったく問題ありません。また、金属以外のFRPや木製の船舶への使用は全く問題はありません。


7) PL保険

万が一の際の企業責任として、フジツボガードは生産物賠償責任保険(日本国内対人・対物補償1事故につき1億円)に加入しています。


8) 今後の展望

フジツボによる被害は船舶の船底だけに限らず、船舶エンジンの冷却水路、養殖漁業の漁網、発電所や海水を冷却用に使用しているプラントの導水路や取水管等でも発生しています。その被害は甚大で、フジツボの除去に莫大な費用が掛かっています。
フジツボガードは船底塗料用の製品で、その効果の持続性は、船底塗料の溶解作用に依存しています。したがって、溶解しない塗料やプラスチック素材、コンクリート等に混ぜても効果が出ません。しかしながら、前述したようにフジツボ付着による被害は多業種に及んでいるので、それらにも対応すべく、現在、塗料の溶解作用に依存しない新たなフジツボ付着対策用の製品を開発中です。